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【恋と深空SS】セイヤとミナミの出会いを妄想してみた

※ 注意 ※
こちらは『恋と深空』二次創作となっております。
間違いで来られた方は即回れ右でお願いします!

《登場人物》
ミナミ、セイヤ

▼概要
今回のは別に萌えとかそういうタイプの二次創作ではなくて、自分の中で疑問があったセイヤとミナミさんの関係性を勝手に補完して書いたもの(つまり捏造)。
セイヤってなんかハンター協会でも単独行動許されてる感あるし、ミナミさんってセイヤのことどこまで知ってるの?てところから生まれた妄想(考察込み)です。
尤もらしく書いてますが、すべて妄想ですにでご注意ください。

▼備考
裂空災変当時

これを創作するにあたってミナミについて考察した内容はこちら

 2034年、臨空市上空に突如として現れた深空トンネル──。
 同時にワンダラーという未知の怪物が地球上に現れたその日、人々の暮らしは一変した。
 特に臨空市の被害は甚大となり、当時Evol特殊部隊臨空市領飛区支局の新人だったミナミは、幾人もの市民の命を身を呈して守った勇敢な英雄のひとりだった。

 2035年元日、Evol政府監督下にハンター協会が設立。
 ワンダラーの殲滅およびコアの回収を目的とする深空ハンターという新たな職業が誕生し、多くのEvolverを有していた特殊部隊が吸収・再編される形となった。
 不気味な異形の存在に混乱と恐れをなす者が多い中、勇猛果敢に脅威に立ち向かう気概と実力を見せたミナミが最前線で活動する精鋭部隊の一員として招集されたのは当然のことと言えた。

 2036年、凄まじいスピードで臨空市の再建が進む中、ミナミはチームを率いる分隊長となった。
 年若い上司にいい顔をしない隊員もいたが、持ち前の負けん気で牽引。彼女の行動で示すリーダーシップは、徐々に文句を言う者の数を減らしていった。
 しかし新設間もない組織は充分に機能しているとは言えず、どこからか忽然と現れるワンダラーは依然として猛威を振い、人々の生活を脅かしていた。
 街中を奔走する隊員たちの疲労も日に日に色濃くなっていく。どうにか打開策はないものかと頭を悩ませているとき、彼女は出会ったのだ。明日へと続く一筋の光に──。



 目の前で、雄叫びとともに何体ものワンダラーが朽ちていく。肩で息をし、地面に膝を付くミナミはただ呆然とその様子を眺めるしかなかった。
 ワンダラーが砂塵のように散っていく向こうから、ひとりの青年が光を纏って現れた。癖のない銀髪が風に揺れ、キラキラと光の粒子が舞う。
 彼の迷いのない力強い剣筋と閃光は、瞬く間に不浄の者を祓い去った。
 その凛とした横顔は、神秘的で温かな光とは裏腹に、どこか感情のないアンドロイドのような冷淡ささえ見え隠れしている。

 ──パリィン……!

 何個目かのコアが砕け散る音でミナミはハッと我に返った。
 青年の手の中でいくつものコアが無惨に砕かれ、星屑のように光を帯びて風に舞っていく。

「あ、あなた、一体何者なの……?」
 裂空災変の折り、彼女は彼を目にしたことがある。
 光とともに現れ、圧倒的な強さで次々と未知の怪物を屠り、多くの人々の命を守った救世主。人々の口の端に上り、後に『月影ハンター』と呼ばれた人物──。

 何者かと尋ねられ、彼はどう答えていいか考えあぐねているようだった。
 ミナミは質問を変えた。
「名前は? どこの隊の所属なの?」
「……名はセイヤ。別にどこにも所属してない」
「深空ハンターではないの?」
 ミナミはしばし考え込み、また質問を変えた。
「深空ハンターでもないのに、あなたはなぜワンダラーと戦っているの」

「………………ワンダラーはこの世から一匹残らず駆逐すべき存在だ」
 質問の真意を掴めずセイヤは首を傾けたが、強い口調でそう言った。

 彼女が確かめたかったのは、このとてつもなく強い戦士が、同じくワンダラーと戦う者として信頼して協力し合える相手かどうか、ということだ。
「もう行っていいか?」と踵を返すつれない背中へ、彼女は本当の要求を投げ掛けた。

「待って! お願いがあるの、ハンター協会に来て! あなたのような精鋭が必要なの!」
「悪いが、俺には目的がある。組織に縛られるのはごめんだ」

 静かにそう言い、彼は現れたときと同じように光の中へ姿を消した。



 セイヤの勧誘に失敗した後も、ミナミはワンダラーが現れたと聞けば一目散に現場に駆けつけた。そこには必ずと言っていいほどセイヤの姿があったからだ。

「もう大丈夫、家に帰りなさい」
 震える少女の肩を優しくさすると、少女のシャンパンガーネットのような瞳が安堵したように緩む。
 彼女の青ざめた表情が血色の良い可愛らしいものに戻るのを見届けて、ミナミは少女を帰した。

 少女を保護している間に、セイヤはワンダラーをすっかり蹴散らしてしまっていた。
 また、彼の手の中でいくつものコアが砕け散った。

「また会ったわね、正義の味方さん」
「……あんたはいつも俺のいるところに現れるな。ストーカーなのか?」
 ミナミがゆっくりと近づくと、淡々とした青い瞳が向けられる。
 セイヤはすぐにでも行ってしまいそうな雰囲気だったが、今日こそ彼女はそれを許さなかった。

「コアは大切な資源なのよ。それをストレス解消でプチプチを潰すみたいに片っ端から破壊されたんじゃ堪ったものじゃないわ」
「俺が倒したワンダラーから回収したものなんだから、どうしようと俺の自由だろう?」
「…………」

 それはそうなのだが、ハンター協会としてはコアが破壊されるのをむざむざ見逃すわけにはいかないのだ。かと言って、彼より早くに現着してワンダラーを掃討するなんて芸当ができる人間が何人いるだろうか。
 ミナミは眉間にシワを寄せてため息を吐いた。

「あなたの目的は何? コアを片っ端から破壊すること──じゃないわよね?」
「……探し物がふたつ。ひとつは2年前に見つけた。もうひとつは──」
「もうひとつは?」
「…………普通のコアに興味はない」

 セイヤはプイとそっぽを向く。真の目的を話すつもりはないようだ。
 要するに、なにやら特別なコアを探しているのだと察する。ハンター協会の業務を害する目的はないようだ。
 それなら、とミナミは彼の説得にかかった。

「ほかのハンターたちと同じように任務に当たれとは言わないわ。決してあなたの目的の邪魔はしない。もちろん報酬も出すわ。だから、必要なときにあなたの力を貸して頂戴」
「…………」
「臨空を守るために、私にはもっと強い力が必要なの……!」

 怖いくらいに真剣な瞳がセイヤに注がれる。
 セイヤは少しの沈黙の後、彼女の剣幕に根負けしたようにため息を吐いた。

「ワンダラー掃討には協力しよう。ただし、目的のコアを見つけたときは俺に譲ってもらうぞ」
「ええ、それでいいわ。だけど、コアを片っ端から破壊するのは禁止よ。必ず私に届けて頂戴」
「…………善処する」

 一瞬眉を顰めたセイヤの顔には、「面倒くさい」という内心がありありと書かれているようだった。
「絶対よ、頼んだわよ」と、ミナミは最後にもう一度念を押した。


 こうして、ミナミは最強の懐刀を手に入れた。
 秘密の隊員として皆の前には姿を見せず、通常任務は免除。極秘の特殊任務のみを担わせ、それ以外は彼の自由行動を許した。
 戦闘面においてセイヤの右に出る者はなく、通常であれば隊員数名を投入するような場面でも彼ひとりで対処が可能だった。
 彼が暗躍することによりハンターたちの負担は減り、またワンダラー探知や通報システムの構築、対ワンダラー専用武器の開発改良に伴い、ハンターたちの連携・熟練度も格段に上がっていった。
 ほんの数年のうちに、ハンター協会および深空ハンターは、この世になくてはならない機関・職業として、確固たる地位を築き上げたのだった。



 そして約十年の時が経ち、ミナミは機動先遣隊のみならず霊空行動部全体を指揮する責任者にまでのし上がった。自ら現場に出る機会が少なくなった今でも、彼女を慕って行動部配属を希望する者、彼女に憧れて深空ハンターを目指す者は少なくなかった。
 その年の新人ハンターの選抜試験が終わる頃、突然セイヤが機動先遣隊に入ると言い出し、ミナミは驚いた。どういう風の吹き回しか尋ねても、彼は「ただの気まぐれですよ」としか答えない。相変わらずの秘密主義だ。
 どういうわけか、彼は14年前から見た目が変わらなかった。出会った頃の、23歳の姿のままだ。
 しかしミナミは何も聞かず、彼の希望通り中途採用の新人としてセイヤを機動先遣隊に迎え入れた。

 その春、ミナミの強い希望によってひとりの新人ハンターが霊空行動部に配属され、機動先遣隊に配置されることとなった。新人が機動先遣隊に配属されることは極めて稀なことだった。
 彼女はその年の選抜試験最優秀者であり、特別なEvolを持っていた。そして後に、誰ともバディを組むことを了承しなかったセイヤの唯一のパートナーとなり、彼と比肩するほどの戦士へと成長するのだった。

セイヤとミナミの出会いを妄想してみた